只今、元から書いているアメブロの方で、インド、ネパール旅を更新中なのですが、
インドってほんとに町とインド人が”すごい”の一言で、圧倒されちゃって、
旅している時は凄く疲れるのに、気がつくと凄い振り回されて、
怒ったり笑ったりしているうちに、大きなパワーをもらっている、
そんな国だと思うのです。
普段は、そんなに怒りをむき出しにしたり、素直に感動したりしていることって少ないなぁーと思います。
旅自体がそんなものではあるけれど、それでもインドって特別そんな風に思いっきり人間らしく、
本性を出しざるを得ない国だったというか。
でもそれって、きっと大切で凄くストレスが溜まらない生き方だったりするんですよね。
だから今や、インドは好きな国。
今日はそんなインドで起きた、友人から聞いた奇跡の話と、私の出会った忘れられないインド人のおじさんの話です。
その友人とは旅先で知り合い、今や、旅の親友の一人と言っても過言ではないくらい、大好きな旅友の一人ですが、そんな彼が初めてのインドで出会った話。
インドの空港に到着して、気がついたらお気に入りのネックレスを失くしていたそうなんです。
キャッシュカードも機械に吸い込まれて、どう旅しようにも周りのインド人が適当過ぎて、何が本当なのかもわからず、宝物はなくなるし、途方に暮れながらもひとまずインド旅を始めた彼。
とある行きついた町で仲良くなったインド人の家の屋上で寝させてもらったりしながら、ひとまず旅をしていたそうなのですが、
ある時出会ったインド人が、なんと、彼が空港で失くしたネックレスを着けていたそうなんです!
びっくりした彼は、それどうした?と聞くと、知人からもらったというような話をしたそう。
で、その知人はというと偶然、彼と同じ時に空港にいたそうなのです。つまりその人が拾ったってわけ。
そして、ネックレスはひとりで旅をし、無事にその町で彼と再会し、再び彼の首元に戻って来たそう。
これって、ただ聞いていただけでも、寓話とかみたいに奇跡的な話だなーと思う。
彼は、すっかりインドの虜になり、出会った頃は、ずーーーっとインド話をまるで恋人話をするかのように、キラキラした目で語っていたけど、
それくらい、インドは奇跡が起こる場所なんだよと話してくれました。
他にも、身内の弔いのつもりで行ったブッダガヤの町で、
言葉が通じないのに涙ながらに話を一生懸命したら、菩提樹の葉をもらった話もとても素敵でした。
もちろんいい話ばかりではなく、脅されたり、騙されたりと危険な目にも遭ったらしいのですが、それでもインドとインド人がとても好きだと話してくれました。
そんな感じで、なんとなく行ってみたいなー、から、絶対行ってみたい!に変わるきっかけをくれたのも彼のインド話だった気がします。
当時は、私もずっと傍にいてくれた相棒の愛犬を失ったばかりのペットロス真っ只中のまんま旅してたから、余計に神秘的なインドに魅かれるものがありました。
とは言え、私自身も職業柄、日本に居ながらではありますが、インド人との接点がそれなりにあって、彼らのいいところも悪いところも目にする機会が結構あります。
そんな中、忘れられないインド人のおじさんの話です。
日本語教師になって少し過ぎた頃、あるインドカレー屋のおじさんに個人レッスンで担当することになりました。
そのおじさんは、日本に8年住んでいるけど、本当に挨拶くらいしか日本語がわからず、遂に一念発起して教室にやってきたらしいのです。
そのおじさんは、自分の中でも一番と言うくらい教えるのが難しかった生徒です。と言うのも、英語もほんのちょっとしか判らないらしく、どうしてもの時の共通語がゼロなのです。
とは言え、やる気は充分。私はどうにかしてこの人のお手伝いをしたいとあれこれ努力をしました。
2時間の授業で大まかに、先週の復習、今日の導入、練習を得て今日の復習となるのですが、いかんせんこのおじさん、復習がほとんどできない。
答えを示すと、演技かわからないけど、思い出したよ!というようなジェスチャーはするのに、今日の復習になっても相変わらず考え込んでしまうと言う結果で。
もちろん、生徒がわからないのは、100%こっちの教え方に問題があると思うので、これはどうしたもんかなと結構な課題ではありました。
ある日、授業が始まる前にベテラン先生から、今日は教師になりたい見学者が来ているから、あなたの授業に行ってもらいますと言われました。
見学者が来るのはよくあることなのですが、今日は例のインド人のおじさんとの個人レッスン。
若干の不安はありましたが、私に断る権利もないので、そのまま授業に入りました。
その日の導入は、時間の表現。
初級生徒には、習った以外の言葉は使ってはならず、多くの教材が必要なのですが、時間表現は結構楽で、時計があればかなり役に立つのです。
手元にある時計を適当な時刻にして、「いま、なんじですか?」「3じです」または「いま、5じですか?」「いいえ、5じじゃありません、3じです」と答えてもらうのですが、
例題から離れてもずっと、例題の時間を言うばかり。
数字は言える。それに関しての質問の意味もわかっているはず。なのに、何度も同じ間違いをしてしまう。
何度目かの答えの後、ついに見学をしていた男の人が、ぷっと吹き出しました。
その瞬間、私は間違いながらも一生懸命勉強している生徒に対して、なんて失礼な人なんだろうとイラッとしましたが、私が言葉を発するよりも先にそのインド人のおじさんが、
「僕はバカだから。たくさん練習するんだ。」
と、穏やかにその人に英語で言ったのです。
そのおじさんの穏やかさぶりに、笑った男の人に対してイラッとしてしまった自分も小さいなと思いましたが、おじさんのひたむきさにも改めて気付かされ、絶対この人の日本語を上達させようと改めて心に誓い直しました。
結局、後から他の生徒に聞いたことなんですが、そのおじさんは時計が読めない人でした。
インドに行けば、そんな人はたくさんいるよと初めて教えてもらいました。
自分の知っている”世界”は、本当に狭いんだな。世界は、自分が想像するよりもまだまだ良くも悪くも色んな人がいて、色んな人生があるんだなと思い知らされたのです。
それから2年後、インドを旅することになり、バラナシの町を歩く機会に恵まれたのですが、あの町は、それこそ私の想像する”カオス”を軽く超えていて、それこそパワーに満ち溢れた町。
たくさんの人が朝から晩までただ道で過ごしていました。
でもそれは、一介の外国人が哀れんでいい事でも、ましてや蔑むことでもなく、
たくさんのインド人が、聖なる川、ガンジス川で死を迎え、また生まれ変わりたいからなのだということも知りました。
だからこそ、あの町はパワーに満ち溢れた町。
あの町にいた時、もしもここにいる人達が突然、何かの機会で日本に来ることになったら?と考えると、真っ先にあのおじさんが浮かんだのです。
そして、旅友の「それでもインド人が好き」と言ったあの言葉。
私もバラナシで、脅しに近いことがあったし、思い出してもやっぱり腹立つけど、
それと同時にあのインド人のおじさんの
「僕はバカだから。たくさん練習するんだ。」
あの言葉をなんとなく思い出します。
うまく言えないけど、そしたらなんか気持ちがふっと軽くなって、まあいっかなと、
それこそ今だからってのはあるけど、それほど許せないとまでは思えなくなるのです。
ちなみに今、そのインド人のおじさんは、そこまで日本語ぺらぺらにはならなかったにせよ、カレー屋のオーナーになったそうです。
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