旅日記 ポーランド クラクフ 負の世界遺産など

クラクフのシンドラーの工場に行く

投稿日:2016-05-29 更新日:

そもそもなんでポーランドなのか。

 

それは、何度も書いてきたけれど、世界の紛争、抗争。

戦争によって生まれた大きな過ちなどの負の遺産をこの目でちゃんと見たい。

それが理由でした。




 

もちろんポーランドといえば、アウシュビッツの名で世界に知られるオシフィエンチムが一番有名です。

 

でも、そこに行くのは、東欧、中欧を一回りして戻ってきてからなんです。

まぁ、理由はその時にでも。

 

とりあえず今日は、クラクフ。

 

有名な映画「シンドラーのリスト」でもよく知られた、オスカー・シンドラーの工場に行きましょう。

 

しかし。

旅先あるある。

 

地球の歩き方、親しみと嫌みをこめて旅人から呼ばれている「地球の迷い方」

この地図を信用して歩いてたら、たちまち意味不明な場所に出ましたよ。

挙句、工事で道が通れなかったりもして足止め状態。

 

とにかく土砂降りで凍えながら歩いています。

しかも、クラクフの道、歩道側の道路がくぼんでいて、大きな水たまりみたくなっていて、車がそこを通るたび、ものすごい勢いで泥水をかけられそうになるんです。

それが本当に怖くて嫌でした。

 

結局頼りになるのは、スマホのGoogle Map。

 

もう、とにかく歩き方のせいで変な道に出たらしくて遠回りしてしまいたいしたことない距離のはずが遠かった。

しかも不親切にも、看板とか案内とかなんにもないんで。

 

で、あれかなって思う古そうな建物が見えたので、曲がってみる。

結局この建物、まったく関係なかったみたいですが、なんか雰囲気あるんですけどね。

で、到着しました。ここです。

Schindler’s Factory シンドラーの工場

入場料、歩き方には19ズロチって書いてあるけど、21ズロチでした。

 

中に入ってみましょう。


シンドラーの工場といえども、特にシンドラーのことに特化して詳しく書いてあるわけでもなくて、

意外にも淡々とした展示に感じられました。

もちろん、これらが現在あたりまえのようにあるものなんかでは決してなくて、

かつてそこに存在した恐怖や無残さをきちんと訴えてはいるんだけど。

だけど、ここに来てハッとしました。

 

悲しみの死の列車の再現だと思いますが、

人形の顔が物悲しくて、思わず立ちつくしてしまいました。


 

貨物列車に、人々はまるで物をぎゅうぎゅう詰めにするように乗せられて、

あの場所へと運ばれたんだったよね。。。

幌の向こうに、何を思っていたんだろう。

 

当時の街並みの写真もありました。

さっき歩いてきた街なんかも、かつてこんな姿だったなんて信じられないほどの光景です。

戦争って、ほんとになにもかも破壊して、愚かだ。

創り上げてきたものを壊すという可笑しな行為に、そろそろ世界中の人が気づけばいいのに。

 

この人がしでかした重罪。

重罪なんかという言葉では片づけられない。


そんな組織を、せめて嘲笑うかのような、

皮肉な絵。

普通の生活をしていた人たちが、突然家を捨て、すべてを捨て、

収容所に集められ、地獄の労働をさせられました。

 

ある者は、労働につくことすらなく殺されました。

 

残された家具が、どれだけそれまでは普通の日々を送っていたのかということをそこに映しています。

 

 

そして。

 

映画なんかじゃない、

だけど、映画であってほしいとしか思えない、

異常な風景。

この兵士達は、最低だと思う。

だけど、最低だけで片付けられないような、当時の軍隊の必死な有様もたくさん読んだから知ってる。

でも演技なんかでは決してないこの誇らしげな顔にやっぱり私は異常さを感じずにいられない。 

 

中には、スタンプラリーなんかもありました。

 

出口付近にある、彼が救ったと思われるユダヤ人達の名前。

 

これがきっと、シンドラーの”リスト”だったんですね。

とめどなく人が殺されていく救いようのない世の中で、シンドラーはこんなにもたくさんの人を救いました。 

 

オスカー・シンドラーは、1200人ものユダヤ人を救ったと言われています。

それは最初は、彼は決して善だけで動いたわけではなかったかもしれないけれど、ヒトラーがナチスが悪に捕り付かれていくように、彼はとにかく一人でも多くの人を助けると言う自分の信念にどんどん支配されていきます。

それでも、映画”シンドラーのリスト”のラストで彼は、

「このボタンだ。このボタンを売れば良かった。それだけでまだ誰かを救えたかもしれない。」

と泣きます。

それくらい、命をかけてたくさんの命を救った人。

 

シンドラーの使っていたデスク。

そんな崇高な人が築き上げたこの場所に来ることができて、本当によかったなと感じた時間でした。

 

このデスクが明るい場所に置かれていて、なんだか救われる気持ちでした。

今でも、シンドラーがこの椅子に座りながら、たくさんのユダヤ人の名前が書かれたあのリストを熟案する姿がまるで見えるようです。

 

そして最後に、クラクフにあったプワシュフ強制収容所の再現場所のようなエリアがありました。

シンドラーによって救われる人達がいた一方で、ここクラクフでは強制労働をさせられ、ある時には気まぐれに殺害され、8000人以上の人達が犠牲となった収容所です。

シンドラーが必死で助けても助けようとしても、嘲笑うくらいの勢いで、ナチス軍が行ったホロコーストの勢いは誰にも止められなかったのです。

 

ホロコーストの傷跡を辿る旅は続きます。

 

 

シンドラーの工場

入場料21ズロティ(2016・5月時点)

一日の入場者数の制限があるようなので、繁忙期などは予約した方がいいかもしれません。

私が行った5月は予約なしでも全く大丈夫でした。

HP:http://www.mhk.pl/branches/oskar-schindlers-factory

予約はこちらからできます:https://bilety.mhk.pl/rezerwacja/wydarzenie.html?lang=en

Schindler’s Factory – permanent exhibition – Individual visitorsをクリック

 

 

 

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執筆者:


  1. バンバン より:

    ユダヤ人と日本人
    似てると思います。
    真面目に勤勉で働き財を築く。
    他民族には羨ましがられ脅威に。

    シンドラーのリスト映画を観ました。
    この工場と広島の原爆資料館は似てますね。

    ヨーロッパへ行かれても、こういう場所へ訪れる方は少なく偉いと思い ました。

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Sayo

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