旅日記 ネパール カトマンズ

ヘナカーストとサーランギー

投稿日:2019-04-11 更新日:

カトマンズ、2年前と変わったなと思ったのは、

お土産に値札がちゃんと付けられているお店が増えたなと感じました。

値段交渉めんどくさいので、値札があると買いやすいです。

 

とは言え、やっぱり洋服なんかはまだまだ値札なしのお店も多くて、

いくら?って聞くと、オイッ!って言いたくなるような金額言われる店も多いんだけど。

2年前は、唯一値札がついている洋服店があって、そこで買い物をしたのです。

そのお店、探し出したいって思ってたら、ばっちり見つけました!

 

カトマンズのマクドナルドからすぐの場所にありました。

この右手前の服屋さん。

エスニックな服が安く売られていておすすめ。

ここでも、希望通りの再会に胸が躍らずにはいられません。

 

ナマステ!

 

ナマステー!!

 

お店の感じのいい女性が、挨拶してくれるけど、しつこく勧めて来ず、

放置状態にしてくれるので、ゆっくり見やすいです。

でも、2年前に来た時は、確か日本語で挨拶してくれたおじいちゃんが居たんだけど。

おじいちゃん、今日はいないな。元気なのかな。

 

ひとまず、これからカトマンズで過ごす中で何度も来てしまうお店でしょう。

おじいちゃんに再会出来たら、ばっちりなんだけど。

 

長い旅に出る時、服はだいたい2~3枚しか持ってきてません。

予定通りにここで買えたので、本当に今のとこ順調です。

 

疲れたし、そのまま宿に帰ろうかとも思ったんだけど、

なんとなく進んでみた道で素敵な出会いがありました。

こういう選択の分かれ道で自分の思ってるのと勝手に逆方向に進んでみると、

旅では特別な出会いをプレゼントしてくれることが多いです。

 

ふと、既に店じまいをしたお店のシャッターの前に座り込んでいた女性から声をかけられました。

「良かったら、ヘナタトゥーどう?」

 

あ、2年前にインドでやってもらったヘナタトゥーだ。

※ヘナタトゥーとラスマライとアーグラーの呪い

 

正直、あの時もクオリティこんな感じかって思ったし、これ意外と高いから(私的に感じた金額)、

どうしようかなって思ったけど、こういうのって浮かれた旅人には必要だったりする。

 

「いくらなの?」

 

ただ、こんな道端で勧誘してくる人は、たいていぼったくって来る人も多いんで、

どうせ高いんだろうなって思ったけど、交渉して、その金額でいいよってことになったんで、

お願いしました。

こういうのは、納得価格だなぁー。

 

こっちが価値をつけないといけないから、真面目ぶってるわけじゃなく本気で、

私なんかじゃ判断できないのにって思う。

 

すぐに彼女は、私の手をしっかりと握り、書き始めてくれました。 

正直、ほんとそんなに期待してませんでした。

まぁ、芸術を求めるよりも、今回もネパールに来た思い出作りの印程度になればいいなくらいな気持ちで。

 

どんなのがいい?って聞かれて、綺麗なのって言ったけど、

本当まぁ、どんなでもいいやって程度で。

でも、彼女のヘナタトゥーは正直、インドでやってもらったクオリティを遥かに超えていて、

見る見るうちに、素敵な絵を完成させてくれたのです。 

「うわー、キレイ!!私、凄く好き!」

「本当?それは良かった。あなたが幸せになれるようにって願いを込めて書いたの。」

 

嬉しそうに微笑んでくれた彼女の顔を、そこで初めてちゃんと見ました。

 

「私はね、マーラって言うの。」

「私は、サヨ。日本人だよ。マーラって、どんな意味の名前なの?」

「花のネックレスって意味なの。ネパールでは綺麗な名前なの。私には似合わないけど。」

 

そう言って、また笑ってくれたマーラを見ながら、

すっごい不思議なんだけど、この人とは絶対仲良くなれる気がするって思ったのです。 

こういう感情って、今付き合っている友達とも初めましての時に、

時々思うことがあって、直感通りにその後も仲良しになれることが多い。

そういうのって誰でも結構感じてたりすることだと思うけど、

それは、自分が日本語を教えた生徒でもしばしば居たりするけど、

こんな風な出会いで感じたのは、初めてだったりする。

 

あのカンボジアでの出会いですら、 

最初はあんなに涙のお別れをするくらい仲良くなれるなんて、思ってもみなかったから。

 

最初はすっごい警戒心Maxだったのに、私はマーラともっとおしゃべりしたくなったのです。

それが、友達になりたいなって言う素直な感情。

 

ラッキーなことに、ヘナが渇くには、結構な時間が必要で、

マーラとたくさん話せる時間ができたのです。

 

お互いの年齢とか自己紹介、ネパールに来たのは2回目って話、

そしてふとマーラが「私の息子なの」と紹介してくれたところで、マーラの向こう側に、

まだ小学生くらいの男の子がいることに気がつきました。

 

その子の話をたくさんしてくれて、それから、凄く気になったのは、

「私はね、ネパールではヘナカーストなの。だから、ずっとヘナを描いて行くしかないの」

と言う言葉。

 

カーストについては、前回のインド旅でまざまざと今も存在していることを知ったし、

もちろん前回は遭遇しなかったにせよ、ネパールにも色んな問題があるのを知ってる。

でも、ヘナカーストと言うのは、初めて聞く言葉でした。

 

「ヘナカーストってどういうことなの?」

「うーん。あなたに上手く話したいんだけど、私はそれを伝えられるだけの英語力がないの。

ごめんね。私馬鹿だから。」

「そんなことないよ。英語がちゃんと話せないのは私もだよ。」

 

こんな時に、お互いの言語が違うのが、凄くもどかしいなって思ったけど、

マーラが懸命に説明してくれたのと、私のつたない理解力でわかったのは、

ネパールには、その仕事しかすることを許されない風習があって、

ずっとヘナを描くしかない人生なんだっていうこと。

 

助けたいとか言う思い上がったことでもなく、かと言って励ますのもなんか違うし、

やっぱり文化と言う大きな山に、教えてもらったくせに上手く返す言葉が見つかりませんでした。

ただただ、彼女の愚痴をうんうんって聞くことしかできなくて、

私は、まだまだ人間として未熟だなと思い知らされる。

 

そうこうしているうちに、マーラの友達の女の子が来て、

その子もまた、マーラと同じようにヘナタトゥーを道端で描いている話を聞いたり、

その辺のお店の人がやってきて、またお話をしたり、ヘナを褒めてくれたり、

マーラに出会った事で、一気に色んな現地の人と話す事ができました。

 

通りすがりの外国人も、そんな風に座り込んでいる私達にだんだん興味を示し、

時に、「写真撮ってもいい?」って私のヘナタトゥーを撮る欧米系のおばちゃんが、

次から次へと。

 

少しでもマーラのお手伝いをと思って、薦めてはみたんだけど、

「私は若くないからいいのよ。あなたの写真を撮りたいだけ」って言う人が多いし、

時に呼び込みをしてみたアジア系の女の子からはガン無視され、

時に道端に落ちている汚いゴミを見るかのような視線を浴びせられながら、通り過ぎてく集団の子もいて。

 

ああ、こんな風に道端に座って商売をしている人を色んな国で見てきたけれど、

こういう気持ちなんだ、毎日毎日無視されるのが当たり前なんだなって、

初めてちゃんと身を以て知ることが出来ました。

フレンドリーに話しかけてくれたチャイナの男の子とかがいたのが救いではあったけど。

 

とまあ、そんな暗い時間ばかりではなくて、

そんな風に考え込むのが悪い癖の私を吹き飛ばしてくれるように、

明るい人がまた向こうからやってきたのです。

これまた、運命としか言いようのない出会いでした。

 

ヒンドゥー系の民族楽器サーランギー弾きのブッディマンは、

実は2年前にも出会っているのです。

 

普通に買い物してたら、陽気にやってきたおじさんが居て、

民族楽器とかは好きだけど、一人じゃなかったから、そんなに話す機会もなくて。

でも、なんかもう一回カトマンズに来たら、出会えるんだろうなぁって思ってた。

 

サーランギーミュージシャンのブッディマン。

意外にも、マーラと話すのは初めてだったらしい。

今度は、ブッディマンの話を色々と聞けて、なかなか面白いです。

サーランギーミュージシャンになった経緯とか、ポカラに家がある話とか。

 

「これ、僕の家族の写真なんだよ。」と言って、スマホの家族写真を見せてくれました。

「僕は、こう見えておじいちゃんなんだ。

これは、マイワイフ、これは、セカンドワイフ。これは息子で。。。」

 

と、説明してくれたのですが、

ん?セカンドワイフ??

あれ?ネパールも一夫多妻制じゃないよね??

 

「あなた、二人奥さん居るの?」

「いや、息子の奥さんだよ。」

「ああー、なるほど。」

「息子の奥さん、セカンドワイフ。」

 

息子の奥さんは、セカンドワイフって言わないけど、まあいいや。

ブッディマンは、タメルではちょっとした有名人らしく、

何人もの外国人から声をかけられてました。

 

そのたびにまた、初めましてのネパール人以外の、

色んな国のおんなじ旅人と話す機会があって、連絡先を交換したりと、本当に貴重でした。

 

「じゃあ、もうひと頑張りしてくるよ。」

と、再びブッディマンは演奏しながら去って行きました。

 

再び、マーラと話したり、めげずに外国人の呼び込みを手伝ってみたり、

また近所のネパール人がやってきて話に花が咲いたりと、

こんな風にマーラの傍にいなかったら、話もせずに通り過ぎるだけだった人がたくさん。

私は旅人で、ここではひとりぼっちなのに、今はひとりじゃない。なんて、ハッピーなんだろう。

なつっこい犬もやってくるし。

しばらくして、「僕は傷ついているよ。」と帰って来たブッディマン。

彼もまた、店を持たないストリートの人間であって、時にひどい反応もされるらしい。

 

ブッディマンが売っているのは、手作りのサーランギ―とCD。

「サーランギ―買ってよ。」

「いや、買っても弾けないからさー。」

ほんと、もしカトマンズに住むことになったりしたら、習ってみたいけど。

 

「2人にプレゼントがあるよ!」

と、いつもやっている、2人の名前を日本語で書いて、それを渡しました。

マーラとブッディマンは嬉しそうにそのノートの切れ端の紙を、

”失くしても大丈夫なように”とスマホで撮影していました。

 

そのうち、3人で写真を撮ったりして、ちょっとだけ日本語の授業もしたりして、

本当に楽しい時間を過ごしました。

時に、通りすがりの外国人も授業に加わって、みんなケラケラと笑っていました。

 

ヘナタトゥーはすっかり乾いて、マーラは楽しかったお礼と言って、

最初の金額よりも安くしてくれました。

 

すごいなー。

2年ぶりにカトマンズに来ただけなのに、もうこんなにもたくさんの友達が出来た。

 

マーラがつぶやきました。

「Happy。」

3人で撮った写真を嬉しそうに眺めていたブッディマンも。

「I’m happy tonight」

すぐに、「私も。」と答えていました。

 

この2人の声を、このハッピーとつぶやいた顔を一生忘れたくないなと思いました。

旅をしていて出会える、この”一生忘れたくない”っていう瞬間。

ネパールに戻って来てもう、旅の忘れ物、2年前に足りなかったピースを見つけられた気がしました。

 

ネパール旅は、まだまだ始まったばかり。

たくさんの人に、See youが言える嬉しさを噛みしめた夜でした。

 

 

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執筆者:


  1. tekutekubunbun より:

    こんばんは
    国によって色んな習慣というか文化があるんですね
    一つの事しか出来ないっていうのは不満もあるだろうけど、この女性は極めてますね!!
    クォリティがすごく高い!!

  2. ted & LEON より:

    またまた、素晴らしい出逢いがありましたね
    ひょつとしたら人との出逢いで何か感じる物が
    あれば前世で出逢っていたり家族だったり友人だったりする事がありますからね

    グッドラック (^3^)/

  3. 銀の三角 より:

    初めまして
    『いいね!』を100回くらい押したいです。

    今、朝ですが優しい気持ちで1日が始まりHAPPYです。*^^*)/

    これからも良い旅を無事を祈ってます。

  4. ヨスケ。 より:

    カンボジアのブログ読ませて頂きました!僕も14年前にタケオに泊まりした。懐かしい気分になりました!ありがとうござます

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Sayo

バックパッカー。
一人旅が好きで、定期的に海外へ飛び出しています。
好きな過ごし方は現地の人達と笑うこと。
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