旅日記 ポーランド アウシュビッツ/ビルケナウ 負の世界遺産など

オシフィエンチム アウシュヴィッツ強制収容所 1

投稿日:2016-09-25 更新日:

アウシュビッツ唯一の日本語ガイドの中谷さんとは、

9:15に、この入場棟の前で待ち合わせ。

前回も書きましたが、4月~10月は、早朝、夕方の数時間以外は、

ガイドなしでは入れません。

入場料は無料ですが、ガイドにガイド料として、

料金を払う形式をとっています。

で、ご覧のように、凄い人なんです。

ガイドをしてもらうのは、私一人ではなくて、何人か一緒なはず。

ちょうど、地球の歩き方を持っている男の人がいたので、

声をかけました。

 

 

ドイツ在住だそうで、今日は義父と一緒に見学に来たそうで。

確実に日本人の方と一緒だと、こういう場所ではちょっと安心しますね。

 

色々、お話をしていると間もなく中谷さんがふらーっと到着しました。

内心、私にとって、

学生時代から本などの中で見て来た憧れの人なので、

有名人に遭えたような感覚。

 

そして、そんな中谷さんのガイドは、

私のユダヤ人ホロコーストに関する知識なんて、

軽く超えるとともに、そこに何重にも新しい考え方を吹き込んでくれるような、

素晴らしいガイドでした。

 

アウシュビッツという世界的な負の遺産のガイドは、

しっかりと真実を伝えるとともに、

重要な役割をも果たさなければならないので、

なるには資格がいるそうです。

その資格をとるのに認められるのもかなりの大変さだそうで、

中谷さんも、結構大変だったそう。

 

確かに、こんな世界的な負の世界遺産の出来事を伝えるには、

偏った伝え方もしてはいけないだろうし、

全ての知識を全部結びつけていないと、

とてもガイドなんてできないですよね。。。

 

そして、なぜ伝えるのか、それが明確に伝わることもガイドの役割な気がします。

結果、それらをすべて渡してくれた、

唯一の日本人ガイドの中谷さんのお話は、本当に素晴らしかったです。

 

ミュージアム、と言っても、実際の収容所をそう呼ぶのですが、

A4以上の大きさの荷物は持って入れません。

なので、入り口近くにある小屋で荷物を預けます。

 

更に、手荷物検査なんかをして、いよいよ中へ。

 

もう各国のガイドと見学者があふれているので、

自分のグループの話がしっかり聴こえるように、

ガイドはマイクをつけ、見学者はヘッドホンを渡されます。

 

そこからは、自分のガイドの声だけが聴こえるようになっています。

解説をしてくれる中谷さんと、この日集まった日本人見学者。

 

アウシュヴィッツ強制収容所と言えば、誰もが思い浮かべる、

入り口のドイツ語。

 

“労働は自由への道(働けば、自由になる)”と書いてあります。


ちなみに、この写真に写っている人、かなりここでポーズを決めて記念撮影。

 

ここには、たくさんのユダヤ人ももちろん訪れるので、

中谷さんいわく、そういう自分を入れて写真を撮っている観光気分の人は、

かなり眉をしかめられるそうで。

 

記念撮影という感覚が、ホロコーストとはという事実をきちんと知っていると考えられません。

 

これは、反対側から見た看板。

 

わかりにくくてすみませんが、文字の右から3つ目、

”B”にあたる文字は、 

上下が正しいBとは逆になっているのが、わかりますでしょうか?

本で読んだことがあるのですが、

これは造った人が密かに反抗心を込めたからだとか。

 

でも、この看板はレプリカ。

本物は、既に朽ちてしまったそうです。

 

中谷さんが、ガイドを始めた頃からですら、

だいぶ建物なんかも風化してしまったそう。

でも、修復などはしているとのことで、

景色は変わらないにせよ、木だけは成長しているから、

当時のままのものと、時代が進んでいるものと。

 

何よりも、たくさんのものを見てきたのは、

この木々なのかもしれないですね。

映画や写真で何度も見た、収容所の景色が広がります。

ここ、オシフィエンチムの収容所は、この後行くビルケナウも含め、 

第三まであったそうです。

 

ドイツ軍は、撤退をするときに、ほとんどの資料を焼きはらい、

また、いくつかの建物なんかも破壊して行ったそうで、

これだけの負の世界遺産にも関わらず、残されている資料は少ないのだそうです。

特にここ、第一収容所には、多い時で2万人の人が収容されていたそうです。(ちなみに第一と言っても、クラクフで第一なだけで、初めて造られた収容所は、ミュンヘンにあるダッハウ収容所。)

そして、ここに収容されれば、命の選別をされ、

生きる道を与えられても、

あまりにも反人道的な強制労働によって、

2~3カ月しか生きられなかったそうで、

10人に1人の生還者しかいませんでした。

脱走防止のため、周囲に張り巡らされた電線。

400Vの電流が流されていたそうです。

 

当時の、この場所の光景を再現する絵。

 

いくつかある宿舎のうち、入れるようになっているところの中には、

残された数点の資料が展示されています。

 

まず、これは、殺された人達の骨と言われています。

後々、ガス室のくだりなどでも書きますが、 

骨は、砕かれ灰にされ、野原などに撒かれたそうです。

 

写真なども展示されています。

 

この旅でもたくさんのホロコーストの歴史を垣間見て、

知ってきたけど、 

いつもいつも、映画でも写真でも、

私が見ていて胸がしめつけられるのは、

このユダヤ人の人達が移動をしている姿の写真なんですよね。

ある日、普通の生活をすることを突然禁止され、

自分の家に住むことを禁止され、 

日用品を持って、移動している姿。

 

それは、ただの引っ越しや移民することなんかとは大きく違う。

待っている死への道でしかないのに。

何も知らず、

あるいは、すべてを悟って、

手には、食器や櫛や、本当に日常で使う何気ない物を持って、

故郷を出るのです。

それは、本人の死への気持ちなんて微塵もない、

日常を送る=生きるという

紛れもない意志なのに。

本当の本心は、心の底では、

どんな気持ちで、足を踏み出したんだろう。

私はいつも、それを想うたびに泣きそうになる。

 

当時の人達も目にしたであろう、実際の窓から見える景色が、

あまりにも穏やか過ぎて、

だけどきっと、当時のここには、絶望しかなかったはずで。

やっぱり悲しい気持ちになりました。

まだまだ続きます。

 

 

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執筆者:


  1. ぐるくんのからあげ より:

    ガイドさん

    広島の平和公園に行ったとき、ボランティアガイドさんに、公園の慰霊碑巡りの案内をしてもらいました。

    そのときも、ガイドさんはまだ若い人でしたが、平和への熱い思いが伝わりました。

    我々も感動しました。

    アウシュヴィツッのガイドさんの話を聞いて、思い出しました。

    平和な世界を築いていきたいですね。

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Sayo

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